「妖夢、あなた、頭が悪いわね」
買い物をして会計が777円ぴったりになって喜んだのがおよそ6時間前。自信満々に「333円のお釣りですね!」と言って店員に噴き出されたのが大体5時間59分30秒前。その事を報告して、幽々子様にまで爆笑されたのが約5時間30分前だ。一頻り笑った幽々子様が、落ち込んだ私を見てさすがに気まずくなったのか、「お勉強をしましょう」と紙と筆を持ってきてくれたのが、確か5時間前。幽々子様は30分も爆笑しておられたのか。
そして、「これは、無理ね」と匙を投げられたのが1時間前だ。
どうやら私は基本的な計算ができないらしい。
最初は幽々子様も根気良く教えてくださった。しかし、私の頭の悪さは亡霊も白目を剥くほどだったらしい。それは科目を変えても同じだった。所謂、国語と言われるものに臨んでみても、作者の気持ちなんて全くわからない。それどころか漢字も読めなかった。逐一漢字の読み方を幽々子様に聞いていたら、「……国語はやめましょう」と笑顔で言われた。これはよろしくない。私は気合を入れ直して、今度は英語に取り組んだ。そうしたらなぜか英語だけはすらすらと覚えることができた。と思っていたら、「妖夢、それはルー語よ」とツッコミを入れられた。英語にも色んな種類があるのだろうか?
そんなことが4時間も繰り返されたから、さすがの幽々子様も限界だったのであろう。食事中は如何なる事態が起こっても食器類を投げ出すなんてことをしない幽々子様が匙を投げられた。なんてことを思っていたら「妖夢、実際に匙を投げているわけじゃないのよ」と頭の中に語りかけられた。幽々子様、モノローグにツッコミを入れないでください。
そんなこんなで、幽々子様に笑顔で諦められた私は、一人紅魔館の門をくぐっていた。図書館の本食い虫にでも色々教わってきなさい、と命を出されたためである。
なるほど確かに図書館の主は博識である。幽々子様にはない知識を有しているかもしれないし、教えることに長けているかもしれない。私とていつまでも頭が悪いと評されるままでは、白玉楼の庭師としての面子が保てない。文武両道。それができてこその一流の剣士なのだ。
私は門番に挨拶をし、図書館に通してもらうよう頼んだ。一応、メイド長の許可を、ということで少し待たされたが、ここのメイド長とも面識はあったため、割合すんなりと通してもらうことができた。
図書館の扉をくぐると、古書から漂う、独特の香りが鼻についた。カビたような、少しくぐもった感じの匂いだ。これだけ広い図書館だ。司書が一人ではとても掃除は行き届かないのだろう。動くたびに舞う誇りも相まって、図書館全体が暗く、陰気なものに感じられた。
その陰気の中心、パチュリー・ノーレッジは、机にランプを一つ。一人黙々と本を読み耽っていた。
「こんにちは」
「あなたがここに来るのは、珍しいわね。どういう風の吹きまわし?」
「……? 風が吹くのと私がここに来ること、何か関係があるんですか?」
「言葉を知らない若者。少し勉強をした方がいいわ」
「あ、そう。それです。今日は勉強を教えてもらいに来たんです。今日はよろしくお願いします」
「話が全く見えない」
「えぇと……」
かくかくしかじかって言葉はとても便利なものである。
「なるほどね。大体の話はわかったわ」
「なんとかなるでしょうか?」
「頭が悪いということには、二種類ある。一つは、単に知識がないだけ。一つは知識を覚えられないということ。前者は詰め込めばいいだけだけど、後者は厄介よ。覚えることに力を注がなければいけないから」
「なるほど。でも、それだと私はどちらになるのでしょう?」
「見たところ、あなたは日常的な会話や生活に支障をきたしているというわけでもなさそうだから、単に物事を知らないだけじゃないかしら」
「詰め込めばいいということですね」
「そうなるわね」
「では、これからどうしたらいいのでしょうか」
「そうね、まずはとにかく本を読むことよ」
「本を? 確かにそれはある側面では有効だと思いますが、それは計算をできるようになるということには結び付きづらいのではないですか?」
「勉強イコール計算と考えるのは早計。言葉を知り、知識を得、そして知恵とする。その基本は読書よ。まずは考えることのできる頭を作ることが先決。たぶん、それがあなたに足りないものなのよ」
「そうですか」
少し納得のいかない気持ちが顔に出ていたのだろう。パチュリーは安心させるように言った。
「外から流れてきた自己啓発書や記憶術に関する本なんかもあるから、大丈夫よ。とにかく、しばらく一人で読書をしてみなさい」
「わかりました」
そうして私は、この広大な図書館に一人投げ出された。
「どう? 読書は進んでる?」
一人で読書を開始してから数刻。様子が気になったのか、珍しくパチュリーが、私を探してまで声をかけてきた。
「いや! ま、まぁそれなりに!」
「ん?」
慌ててそれまで読んでいた『本』を後ろに隠す。
「なんの本を読んでいたの?」
「や、じ、ジコケーハツショ? とか、キオクジュツ? とか……」
「…………」
やばい。元々ジト目気味のパチュリーの目が、さらに細められて、もはやジットリ目になっている。これは大ピンチである。
「後ろに隠した本、見せなさい」
「や、いいです」
「私の本」
「今私が読んでるんです」
「だから、何を読んでるのか見せなさい」
「結構です!」
「結構なことです? いいってことね。見せなさい!」
「やぁ、やめてぇ!」
どさどさと隠した本が崩れる。
「あぁっ!」
散らばった『本』は、本は本でも、漫画本であった。
「妖夢、あんた……」
「こ、これは違うです! その、勉強を始める前のうぉーみんぐあっぷというか、肩慣らし的なアレで! これからちゃんと始めようと思ってたんです!」
「…………」
無言が痛い。
「そうね」
「そう! そうなんです! ……え?」
まさか、今の理屈が通じたというのだろうか。だとしたらこれ以上の幸運はない。
「確かに、体を温めることは大事だものね。ふふふ」
「そ、そうなんですよー。ははは」
これはいけるか?
そう思ったが、やはり甘かったらしい。
「じゃあ、たっぷり温めてあげる」
魔力たっぷりに微笑む図書館の魔女。次に出た言葉は『ロイヤルフレア』
因果応報って言葉を覚えました。
終わり
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