――0――
「友達を、つくりなさい」
お姉ちゃんは散歩中のわたしが居そうな所に向かって、そんな風に呟いた。へんなの。わたしはお姉ちゃんの後ろでプティングにカラメルソースをかけて食べてるのに、まるでわたしが地獄の底――たぶん、ずぅっと底――に居るみたいに、言うんだもの。だからもういいよって、知らないよ、ともだちなんかってさっさと方向転換、ぐるっとしてさようならしたのに、後になって急にお姉ちゃんの言葉が、頭の中で行ったり来たりを始めてしまった。
もう、お姉ちゃんはいつだってそうだ。わたしに無理難題ばかり言う。この間だって――十日くらいまえ――私に暇なら酒でも持ってこいって。あれ? お姉ちゃんに頼まれたんじゃなかった気がする。うん、まぁいいや。
だからふらふら散歩して、それから友達づくりってやつに挑戦してみることにした。これって確か、“ぼっちなう”ってやつだよね? 神社で似た様な巫女がいってた。たぶん。
だからとりあえず、地上に行ってみることにする。うふふ、こいしちゃん出陣なのです。なんてね。
――1――
ふらふらと歩いてたら、なんだかもうひとりわたしが居た。これって、水鏡ってやつだよね。なんてもの知らずな振りをしてみる。あ、いまとっても乙女チックだった。魔理沙に自慢しようっと。
それで、どうしてきたんだっけ? まぁいいや、些細なことは丸めて焼却炉に入れちゃえばいいや。お空は、元気かな。お燐も地上に居るんだっけ?
なんて風に、ふらふらぽやぽや、歩いてたら早速第一むらびと発見です。なんだろう、地獄の妖精よりもイキイキとしてる。緑色の、煮詰めたコールタールが炎に触れて、あちちってなってるときの色の髪をした、妖精さん。黄色いリボン、黄色ってなんの色だろ。生まれかけの卵を温泉に漬けて食べると、なんだかいつもと違った歯ごたえになるんだよね。もぐもぐって、動いてる、さっきまで動いてたのかな? お姉ちゃんに聞いてみよう。きっとなんでも知ってる。お姉ちゃんの覚えた事じゃなくてもなんでも。
「あの、貴女、どうしたの?」
「ううん、考え事。考えてるかも?」
「え? あ、なにか悩み事」
「わたしはこいし。あなたはなに?」
「え、ええっと、私はだいよ――」
「それでね、温泉卵ってなんで美味しいの?」
なんだかすっごく困ってる。お空みたいだ。お空はわたしの言うことをいつもちゃんと聞いてくれなくて、こんな風にとぼけた顔をするんだ。こういうの、知ってるのよ。初心っていうんだ。ういこころ。あれ? 違ったかな?
「温泉卵って、食べたこと無いからわからない、かな?」
「ふぅん、ところで貴女はだれ?」
「ええっと、だからだい――」
「だいちゃんだね! わたしはこいし」
「あ、う、うん。よろしく?」
だいちゃんは、わたしに向かってなんだか不思議そうな顔をする。そんな顔は似合わないぜべいべって魔理沙なら言ってくれるかな? なんだか魔理沙に会いたくなってきた。明日にでも会いに行こう。あれでも、一昨日会ったよね。じゃあ、一昨日会いに行けばいいや。
そういえば、お空の卵の話だっけ? なんだろう、とりあえずだいちゃんと遊んで、すっくりしたら思い出すかな。うん、思い出すよね。
「遊ぼう、だいちゃん」
「う、うん、いいよ! こいしちゃんっ」
「なにして遊ぶ? 遊ぶって、面白い言葉」
「おもしろ……面白い遊び? それなら、たくさん知ってるよ!」
「それじゃあ、遊ぼうだいちゃんっ」
わたしはだいちゃんの小さくて細い手、灼いた後の骨みたいに白くって、脆そうな、オイシソウナ手を引いて走る。あ、でもわたしは遊び方とか詳しくないや。なんとかなるかな。お日様もそう言ってるし、なんとかなるよね。
――2――
さんざん遊び尽くして、水鏡のわたしと一息。なんだかとっても疲れちゃった。鬼ごっこに缶蹴りに、人間に悪戯したり迷わせたり。ひとを道に迷わせる才能だったら誰にも負けない自負がある。だって私も路頭に迷ってるからね。楽しければいいや。露頭の方が、字面はちょっとえっちぃくていいな。お姉ちゃんが、顔を真っ赤にして怒りそう。
「今日はたのしかったね!」
「うん、そうだねっ」
「それじゃあ、次はどうする?」
「あれ? もう、お姉さんの所に帰るんじゃないの?」
「あ、そうだった」
わたしはだいちゃんに、ごめんね、ありがとうって行って帰ることにした、また帰ってから遊べばいいよねって思うから、もうそれでいいや。
「それじゃあ、また遊ぼう」
「うん、こしちゃ――ん」
耳に声を残してさようなら。今日も、楽しかった。
――3――
「友達はできた?」
友達、ああそうだ。友達を作りに行ったんだ。一昨日。まぁいいか、忘れてたなんて行ったら怒られる。食卓で笑うお姉ちゃんに、出来たと告げてにっこり。それから、どんなこって聞くから答えてあげた。
「明日、見せるよ」
「まぁ、楽しみね」
ちょっと顔色が悪くなっちゃってるけれど、まぁいいよね。同じ妖精だし。
ね? だいちゃん、って、わたしは机の下に話しかけた。ずっと、一緒。また遊ぼうね。うふふふふふ。
了
時間:『30分』
提示:『生煮えさん・大妖精』『かぼちゃさん・こいし』
I・B
2012-02-13 00:23:20 I・B@参加:33分まで
2012-02-13 00:23:21 アン・シャーリー@参加:さいごー
2012-02-13 00:23:24 I・B@参加:よろしくお願いします!
2012-02-13 00:23:30 アン・シャーリー@参加:怖いわ
2012-02-13 00:23:40 葉月(参加):黒いよIBさん!
2012-02-13 00:23:40 生煮え@参加:バッドエンド
2012-02-13 00:23:58 I・B@参加:最後の焦り方が筆に見えてる。オチはあったんだけど、スピード不足。というか
2012-02-13 00:24:12 アン・シャーリー@参加:これはそそわっぽいこいしちゃんですね
2012-02-13 00:24:12 かぼちゃ@参加:これは地の後の時間軸ですかね
2012-02-13 00:24:21 葉月(参加):これは判断難しいんだけど
2012-02-13 00:24:26 葉月(参加):アドレナった?
2012-02-13 00:24:29 I・B@参加:背中で猫に爪研ぎされて、描写減った
2012-02-13 00:24:33 I・B@参加:最後だけ。
2012-02-13 00:24:34 アン・シャーリー@参加:なんで大ちゃん死なねばならぬの
2012-02-13 00:24:39 かぼちゃ@参加:さとりがこいしのいる場所を知っている。呼びかけられると言うことは
2012-02-13 00:24:44 アン・シャーリー@参加:良い子なのに
2012-02-13 00:24:45 生煮え@参加:このオチは予定と違うオチということですか?
2012-02-13 00:24:48 I・B@参加:こいしちゃんならだいちゃん殺しそう
2012-02-13 00:24:53 I・B@参加:予定どおりです
2012-02-13 00:25:29 I・B@参加:時間の関係で、描写が減った、と。細かい地の文ですね。なので、最後がプロットみたいに。
2012-02-13 00:25:41 アン・シャーリー@参加:これはさっきの一人称の話で言うと、こいしちゃんの思考をがーっと流すということで、なんというか強みがある
2012-02-13 00:25:51 ROM専:相変わらずパッと見で意味が頭に入って来づらい文章。この作品はこいし一人称語りだから特にそういう面はあるものの、それ以外の作品でもパッと見の読み辛さはあるから、文章の組み立て方と情報の提示の仕方に何か問題があるのかも知れないと思う。
2012-02-13 00:26:10 かぼちゃ@参加:理解不能な感じ=こいしらしいというイメージだとは感じました
2012-02-13 00:26:15 I・B@参加:ふむふむ。
2012-02-13 00:26:42 アン・シャーリー@参加:たしかに、削除キーつかえよ! みたいな感じではあったw
2012-02-13 00:26:58 アン・シャーリー@参加:西尾維新みたいな感じとゆーか
2012-02-13 00:27:05 かぼちゃ@参加:やっぱり、こいしの一人称は難しいと思いました
2012-02-13 00:27:08 生煮え@参加:うーん、こういうこいしは、あんまり好きじゃないかな
2012-02-13 00:27:11 かぼちゃ@参加:心を読む力は、自らの心の強さでもある。 それを嫌われるからと言って閉ざしてしまう事は、ただの逃げで あり、結局は自らの心を閉ざしたのと変わらない。他人の心を受け入れないで完全にシャットダウンする事なのだ。
2012-02-13 00:27:37 かぼちゃ@参加:これが原作設定なんで、地の時間軸の前なら完全にシャットダウンを書かないといけない
2012-02-13 00:27:43 葉月(参加):こいし『らしさ』を作りすぎたように感じるかも
2012-02-13 00:27:51 I・B@参加:なるほど。
2012-02-13 00:27:59 アン・シャーリー@参加:難しいですね>完全にシャットダウン
2012-02-13 00:28:08 I・B@参加:読みやすさの考慮は、欠けていました。
2012-02-13 00:28:14 生煮え@参加:こいし=パラノイアっぽいってのはわりとあるし、僕もやってたかもしれませんが
2012-02-13 00:28:33 生煮え@参加:原作だとかなりまともな受け答えしてるのが
2012-02-13 00:28:35 アン・シャーリー@参加:こいしちゃんはそんなにおかしくはないだろうと思っている
2012-02-13 00:28:42 I・B@参加:時間軸は、地のあとです
2012-02-13 00:28:47 葉月(参加):うううううううううん
2012-02-13 00:28:47 かぼちゃ@参加:逆に地の後だと「こいしの第三の瞼が少し柔らかくなるのを感じた。」とあるので、狂気にいくらか違和感を感じます逆に後だと「こいしの第三の瞼が少し柔らかくなるのを感じた。 逆にあとだと、「
2012-02-13 00:28:56 葉月(参加):上手く言えないのだけど
2012-02-13 00:28:59 かぼちゃ@参加:なぜ二重に
2012-02-13 00:28:59 I・B@参加:>お燐が地上に行ってる あたり
2012-02-13 00:29:07 アン・シャーリー@参加:かぼちゃさんが無意識られてる
2012-02-13 00:29:09 葉月(参加):もしかしたら以前も言ったことあるかもしれないけど
2012-02-13 00:29:33 葉月(参加):IBさんの文章は、一人称でも俯瞰で描いているように見える
2012-02-13 00:29:50 アン・シャーリー@参加:ああ、なんかわかる
2012-02-13 00:29:53 I・B@参加:神視点?
2012-02-13 00:30:01 葉月(参加):そういうことじゃなくて、ううううん
2012-02-13 00:30:02 生煮え@参加:なるほど
2012-02-13 00:30:10 葉月(参加):こいしに入り込んで書いてはいないよね?
2012-02-13 00:30:18 生煮え@参加:キャラとの距離感?
2012-02-13 00:30:23 アン・シャーリー@参加:距離がある
2012-02-13 00:30:31 I・B@参加:私自身への、キャラクタへの感情移入ですかね。
2012-02-13 00:30:40 かぼちゃ@参加:内容自体は、壊れかけたヤン少女と見ればわかるのですが
2012-02-13 00:30:42 I・B@参加:への→の
2012-02-13 00:31:01 葉月(参加):感情移入というほどではないけれど
2012-02-13 00:31:04 かぼちゃ@参加:こいしがテンプレなそういうイメージで、「無意識」を感じられないかなと思いました
2012-02-13 00:31:10 I・B@参加:うーん
2012-02-13 00:31:16 かぼちゃ@参加:勿論、皆無ではないのですが
2012-02-13 00:31:17 葉月(参加):IBさんの視点が、神とまでは言わないまでも
2012-02-13 00:31:19 アン・シャーリー@参加:ふーむ
2012-02-13 00:31:24 葉月(参加):俯瞰気味に思えるの
2012-02-13 00:31:42 I・B@参加:説明的?
2012-02-13 00:31:46 アン・シャーリー@参加:ようするに、これ、IBさんであって、こいしちゃんではないよ
2012-02-13 00:31:55 アン・シャーリー@参加:というのをなんか感じる
2012-02-13 00:31:58 葉月(参加):伝えづらいな
2012-02-13 00:32:13 生煮え@参加:難しいですね
2012-02-13 00:32:18 かぼちゃ@参加:とことん内面を書いてるので、合わないと違和感があるのですかね
2012-02-13 00:32:20 生煮え@参加:距離感としか
2012-02-13 00:32:24 I・B@参加:キャラクタを自己投影的に見られている、みたいな感じですかね?
2012-02-13 00:32:33 葉月(参加):それも違う
2012-02-13 00:32:37 葉月(参加):んーとね
2012-02-13 00:32:45 生煮え@参加:こいしから見える物をかいているんじゃなくて
2012-02-13 00:33:12 生煮え@参加:こいしからこういう物がみえるんだろうなと想像して書いてる
2012-02-13 00:33:16 生煮え@参加:みたいな?
2012-02-13 00:33:20 葉月(参加):まさしくそれ
2012-02-13 00:33:23 I・B@参加:ああ、なるほど
2012-02-13 00:33:26 アン・シャーリー@参加:おおー
2012-02-13 00:33:27 かぼちゃ@参加:なるほど
2012-02-13 00:33:41 生煮え@参加:でも対処は難しい
2012-02-13 00:33:41 I・B@参加:これ治し方どうすんだろ
2012-02-13 00:33:45 アン・シャーリー@参加:メル先生すごい
2012-02-13 00:33:49 I・B@参加:とりあえず、ここまで。
2012-02-13 00:33:55 葉月(参加):IBさんが、その舞台に立ってみるしかない
2012-02-13 00:33:58 葉月(参加):お疲れ様でした
2012-02-13 00:34:00 生煮え@参加:僕が悩んでることだもの
2012-02-13 00:34:02 I・B@参加:お疲れ様でした!
2012-02-13 00:34:07 I・B@参加:ありがとうございます!
2012-02-13 00:34:09 アン・シャーリー@参加:おつかれでしたー
2012-02-13 00:34:10 生煮え@参加:お疲れ様でした