あれを見つけた日から皆の様子が変わっていったという印象を、後になって咲夜は抱くことになる。
紅魔館地下に位置する貯蔵庫には、数多の保存物資が置かれている。部屋の造りは頑丈で、昏い奥側から順繰りに木箱が置かれている。石造りのせいで随分と寒く、夏でも咲夜は長袖になり、カンテラ片手に出入りしなければならない。本日の用向きは、「昔の物で使えるの探して、出しといて」とお嬢様に命令されたからだ。そろそろ六つ目になる。咲夜は一つの箱を漁り終えると、腕をこすった。そうするとチャリチャリと首飾りが鳴り、彼女は思わず笑みをこぼした。
先日の誕生日プレゼントにレミリアから受け取った、コウモリを模した首飾り。闇色の宝石を加工したらしく、あまりの美しさに恐縮する咲夜を他所に「まあ、とっといたら」とお嬢様は鷹揚な笑みを浮かべた。そうしたレミリアの姿から咲夜が思い浮かべたのは、羽だ。
雛鳥を守る親鳥の、大きくも雄々しい羽。
人から恐れ忌まれる悪魔による、咲夜への大きな庇護。
首飾りを思うだけで、お嬢様にお仕えして良かったと、咲夜はいつも感じる。
どれもう一つ、と咲夜は木箱を掴んだ。しかし手が思うように動かなく、寒さのせいでぼんやりしていた咲夜は、箱が床に落ちる激突音を聞いてはじめて気がついた。破砕音、そして割れる音。青ざめたメイド長は慌てて木箱を掴んでフタを開けた。
色とりどりの酒杯や装飾用の短剣、零れた指輪らしきものに首飾り――首飾り？ 咲夜は条件反射的にそれを持ち上げたが、濡れていた。
ぴちゃりと水滴を垂らすそれはコウモリ型で、闇色の宝石で加工された代物は艷やかな光を咲夜の視界に落とす。胸元の首飾りが、異様に冷えた。
箱には割れた瓶とガラスの破片、溢れた液体に、ミイラ状の首があった。
眼窩には針らしきものが刺さっており、削がれた鼻から水滴が落ちる。額には指の太さほどの穴が開いていた。
最初に頭に思い浮かんだのは、《ホルマリン漬け》だった。
首元を触っているうちに、首飾りをしていた頃は綺麗だったんだろうと咲夜は思った。それから、もう一つ考えた。
雛鳥を守る親鳥の大きな羽。それが濡れた紙のように崩れる。
崩れた後から立ち上るのは煙にも似た、闇色の黒いもので……それは……守ってくれるのだろうか。
もし守られているのでなければ、何なのだろうか。
結局咲夜は、待ちかねたようにレミリアが呼びに来るまで、そこから一歩も動けなかった。
『首飾り』 復路鵜氏
I・B＠鉄球（司会） (2013-07-07 23:38:49)
どん！
つくね＠鈴仙と参加 (2013-07-07 23:38:51)
ありがとうございました。
I・B＠鉄球（司会） (2013-07-07 23:38:56)
（33分まで
かじつ（参加） (2013-07-07 23:39:06)
ホラー風味
百円玉（参加） (2013-07-07 23:39:07)
こちらもまたホラー的
ライア（文と参加） (2013-07-07 23:39:18)
一行目が分からなかった
つくし (2013-07-07 23:39:35)
なんだかこう、ホラーやろうとしてホラーしてる感じがしてあまりノれなかった感ある
這い寄る妖怪(参加) (2013-07-07 23:39:52)
ちょっとよくわかんなかった
Ｋ．Ｍ（見学） (2013-07-07 23:40:00)
(43分まで?
ぴす（参加） (2013-07-07 23:40:09)
うん、どんな状況なんじゃろかってなった
I・B＠鉄球（司会） (2013-07-07 23:40:17)
(43分まｄｗ
I・B＠鉄球（司会） (2013-07-07 23:40:21)
で
かじつ（参加） (2013-07-07 23:40:26)
風味ではあるけれども，風味なんだよね
つくし (2013-07-07 23:40:31)
確かに１行目も微妙に文意が取りづらいよね・・・
H2O(参加) (2013-07-07 23:40:34)
繰り返されてる系？
生煮え（見学 (2013-07-07 23:40:45)
よくわかりませんでしたけど、もっと読みたい不思議な感じ
Ministery@参加 (2013-07-07 23:40:59)
一行のリズムが最初とそれ以外で違うのがおしいな
no1255(見学) (2013-07-07 23:41:04)
読み終えた、ごめん、よくわからなかった
かじつ（参加） (2013-07-07 23:41:04)
一行目は，本当はもう少し続けて一行目を受ける部分が展開としてあったんじゃないかと思わせる。
no1255(見学) (2013-07-07 23:41:22)
文体がっていうか、改行多すぎじゃないかな
つくし (2013-07-07 23:41:38)
あと最初のほうから「寒さ」をすげー強調してるから何かあるのかなって思ったら何もなかったから肩すかし感
這い寄る妖怪(参加) (2013-07-07 23:41:47)
ああ、ようやくわかった。多分三人目だと思う。
Ministery@参加 (2013-07-07 23:41:50)
いやあ、これはこれで改行いいんじゃないかなと思う
Ministery@参加 (2013-07-07 23:42:12)
なんか英詩の翻訳みたいなリズムでけっこう好きよ
つくね＠鈴仙と参加 (2013-07-07 23:42:27)
改行無いと見づらい感じもあるから、私はこれぐらいでも良かったと思う。
no1255(見学) (2013-07-07 23:43:01)
あと、短いからしょうがないけれど、咲夜のキャラ付けが結構狂信的なほうだよね
かぼちゃ(見） (2013-07-07 23:43:24)
わからないことが味な系統かもしれないのですが
Ministery@参加 (2013-07-07 23:43:26)
うーん、なんか単語が多すぎて雰囲気が掴みにくいのかな
no1255(見学) (2013-07-07 23:43:32)
原作咲夜さんは、わりとのんきしてる感じだから、そこらへんのれなかった
きのせい（参加） (2013-07-07 23:43:44)
箱の中を見る前と見た後の咲夜さんの心情が掴みづらかったような
Ｋ．Ｍ（見学） (2013-07-07 23:43:49)
コウモリ形だけれど鳥の羽、というのがちょっと引っかかった。翼でなくて羽、という。
かぼちゃ(見） (2013-07-07 23:44:11)
ミイラ、恐らく先代であろう従者を出してはっきりしすぎているのかも
ぴす（参加） (2013-07-07 23:44:22)
ああいう繰り返し系の時はひとつの単語はひとつを通すやり方がわかりやすいでしょうね
かぼちゃ(見） (2013-07-07 23:44:34)
逆に他の描写は意味があるのかどうかと思いも
かぼちゃ(見） (2013-07-07 23:44:50)
全部悩むくらいがよいのかもとは感じました
Ministery@参加 (2013-07-07 23:44:54)
うーん、もうこれ詩ということでいろいろ開き直ったほうがよさげな気がする
ぴす（参加） (2013-07-07 23:45:06)
おわりーかな？
生煮え（見学 (2013-07-07 23:45:21)
ああ先代の従者だとすると
生煮え（見学 (2013-07-07 23:45:41)
「昔の物で使えるの探して、出しといて」の意味が違ってきますね
百円玉（参加） (2013-07-07 23:46:02)
なるほど
かぼちゃ(見） (2013-07-07 23:46:12)
ホルマリン漬けなのにミイラ状。みたいな表現が上手く繋がらないのですが
no1255(見学) (2013-07-07 23:46:22)
それはおもった
ホワビー＠参加 (2013-07-07 23:46:26)
IBさん席外してるのかなー？
つくね＠鈴仙と参加 (2013-07-07 23:46:29)
血を吸われたからとか？
かぼちゃ(見） (2013-07-07 23:46:32)
その辺に意味があるのか無いのか悩んだりで考えすぎてしまうのがわかりにくさが先に来るのですかね
這い寄る妖怪(参加) (2013-07-07 23:46:33)
I・Bさん応答せよ
かじつ（参加） (2013-07-07 23:46:49)
もう少し何か手掛かりめいたものが欲しかったような気も。
復路鵜＠参加 (2013-07-07 23:46:56)
〆（。。
ぴす（参加） (2013-07-07 23:46:58)
しかたないにゃー
ぴす（参加） (2013-07-07 23:47:08)
しめるかにゃー？
生煮え（見学 (2013-07-07 23:47:09)
次いきますか
うるめ＠参加 (2013-07-07 23:47:15)
鉄球の信号ロストしました！
ぴす（参加） (2013-07-07 23:47:16)
じゃあ次
かぼちゃ(見） (2013-07-07 23:47:26)
また司会が消えるって……
つくし (2013-07-07 23:47:29)
霊圧が……
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